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整形外科 脊椎センター

更新日:2023年05月17日

はじめに

東近江市立能登川病院整形外科では2022年秋より「脊椎専門外来」を開設しておりましたが、診療業務の増加と院内体制の充実にともない、2023年4月より『脊椎センター』を標榜することとなりました。
日野記念病院「滋賀脊椎センター」のスタッフと経験を継承し、今後は能登川病院においても質の高い専門診療を提供いたします。

脊椎センターについて

腰痛、頚部痛、手足の痺れ、痛み、歩行障害などの症状は脊椎(首、腰の骨、椎間板、神経の通り道)が原因となり起こっている場合があります。
脊椎センターではこれらの症状の原因を見極め、治療を行います。
予約による診察も行っています。

患者さん自身で予約を取っていただくことも可能ですが、これまで診療を受けられている医療機関を通じて予約をしていただき、過去に撮影されたレントゲンやMRIといった検査画像を持参していただくと診療がスムーズに進みます。予約についてのお問い合わせは予約センターまでお願いします。
予約センター:0748-42-0735

令和6年4月より予約制とさせていただきます。予約状況により当日受付に応じる場合もありますが、予約の方優先となります。

当日受付の方は、長時間お待ちいただくことをご了承いただきますようお願いいたします。

術後早期退院、仕事復帰が可能となる低侵襲手術(脊椎内視鏡手術、椎間板内酵素注入療法、経皮的椎体形成術など)も行っています。興味のある方は外来でご相談ください。

「脊椎オピニオン外来」(高橋忍医師)について

どのような治療を受けたらいいのか、原因は何なのか、専門家でない患者様にはわからないことが多いものです。残念なことですが、医師や医療機関の側にも、患者様にとってベストな治療方針よりも自分にできる治療、自分がやりたい治療を優先して勧めるケースがないとは言えません。
「脊椎オピニオン外来」では、必要な診察や検査を行うとともに、「もっとも標準的な治療の考え方」につき、多くの同業医師から支持されている「ベストドクター」がわかりやすく説明します。患者様のご希望に応じて、適切な医療機関をご提案します。もし本院で手術を受けられることになった場合には、必要に応じて手術に立ち会ってクオリティ(医療の質)を担保します。

「脊椎オピニオン外来」は、紹介患者様のみの完全予約制です。
ご希望の患者様は、医療機関の紹介状をご準備のうえ必ず予約をお取りください。また、前医での画像や検査資料をお持ちの方はご持参ください。この外来は保険診療ですので、健康保険証をお持ちください。

診療について

外来では診察と検査によって原因と診断をはっきりさせます。
そのうえで一般的な治療の選択肢を提案、説明します。
投薬や注射(ブロック注射含む)、リハビリ等の保存治療にて対応可能な場合もあれば、手術治療が必要となる場合もあります。
同じ病気でも患者さんの状態によっては治療方針が変わることもあります。
考えうる治療の選択肢を一通り説明したうえで、何を根拠にどの治療を選択するか十分に検討し、患者さんとともに治療方針を決定していきます。
手術のほか各種ブロック注射も行っています。

取り扱う疾患について

脊柱管狭窄症(腰、頚)、椎間板ヘルニア(腰・頚)、頚髄症、後縦靭帯骨化症、腰椎分離症・すべり症、脊柱側弯症、後弯症、椎体骨折(圧迫骨折)等があります。
上記疾患の多くは加齢変化(変性)により、せぼね(脊椎)の変形や神経の通り道(脊柱管)の狭窄をきたし様々な症状を起こします。
これらにより引き起こされる症状として頚部痛、腰痛のほか、神経に圧迫が起こると手足のしびれ、痛みが出現します。さらに歩行障害(間欠跛行など)が起こる場合もあります。脊椎の変形が強くなると側弯や腰曲がりといった姿勢の異常も出現します。神経の障害が極めて強くなると手足の力が入らなくなる、つまり麻痺が起こります。麻痺が起こると早急に手術です。

・頚椎症脊髄症

首(頚椎)の神経が圧迫される病気です。神経の圧迫は骨の変形や靭帯の肥厚、骨化などが原因となり起こります。手にも足にも症状をきたす場合が多く、しびれ、痛み、手の動かしにくさ、歩行障害、ふらつきなどがおこります。

・腰部脊柱管狭窄症

腰(腰椎)の神経が圧迫される病気です。神経の圧迫は骨の変形や靭帯の肥厚、骨化などが原因となり起こります。足に症状をきたし、しびれ、痛み、間欠跛行(長く歩けなくなる)などがおこります。

・椎間板ヘルニア(頚椎・腰椎)

椎間板が後方に飛び出す病気です。椎間板が飛び出すと首や腰の痛みがでますが、椎間板の後方には神経の通り道があるため神経に影響が及ぶと神経障害(しびれ、痛み、運動障害)も起こります。

・側弯症

背骨が左右に曲がる病気です。背骨はねじれながら曲がるため左右だけでなく前後にも曲がってくることがあります。姿勢の異常によりまっすぐに立つことができなくなったり、歩くのが困難となることもあります。

手術について

手術については前述した疾患に対する標準的な手術はすべて対応できます。
例えば頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靭帯骨化症に対する頚椎椎弓形成術、
脊柱管狭窄症に対する除圧術、椎弓切除術(神経の通り道を広げる手術)、
椎間板ヘルニアに対するヘルニア切除術(内視鏡手術を含む)、
すべり症や側弯症に対する固定術、圧迫骨折に対する椎体形成術などがあります。
手術による患者さんへの体の負担ができるだけ少なくなる様な手術方法(低侵襲手術)も行っています。

脊椎低侵襲手術について(内視鏡手術を含む)

手術による患者さんへの体の負担ができるだけ少なくなる様な手術方法を低侵襲手術といいます。脊椎の病気に対する手術治療においてもいくつかの低侵襲手術があり、当院でも行っています。
代表的なものとして脊椎内視鏡手術、経皮的椎体形成術、椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)があります。すべて保険診療で行うことができます。自費診療で高額な医療費が必要となることはありません。
興味のある方は外来でご相談ください。

脊椎内視鏡手術

腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の患者さんのうち、本法が最適と考えられる方には脊椎内視鏡手術を行なっています。当院には日本整形外科学会の認定する脊椎内視鏡下手術・技術認定医が在籍し、経験豊富な専門医が対応いたしますので安心、安全に内視鏡手術を受けていただくことができます。
脊椎内視鏡手術には主に後述する2種類のものがあります。

・MED  内視鏡下腰椎椎間板摘出術

MEDはMicro Endoscopic Discectomyの略です。
これは、腰椎椎間板ヘルニアに対して行う手術で、約2センチメートルの皮膚切開で椎間板ヘルニアを切除し、脊髄神経の圧迫を取り除くことができる治療法です。従来法より術後の痛みが少なく、ほとんどの患者さんが術後数日から1週間で退院可能となり、より早く日常生活に復帰できる利点があります。椎間板ヘルニアだけでなく一部の腰部脊柱管狭窄症の患者さんにも行える手術です。

 

・FED 全内視鏡下椎間板摘出術

(PED、経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)
FED はFull Endoscopic Discectomyの略で、PED(Percutaneous Endoscopic Discectomy)と呼ばれる手術と同じものです。上記の内視鏡手術(MED法)よりもさらに小さい内視鏡を用いて行うヘルニア摘出術です。皮膚切開は8㎜程度で、体への侵襲がさらに少なく入院期間が短く、早期退院が可能です。ただし小さな内視鏡で行ため適応となるヘルニアのタイプが限られています。椎間板の変性が少なく、狭窄症を合併していない場合に良い適応となります。
FED手術は局所麻酔で日帰りでも可能な手術ですが、当院では患者さんの疼痛、不安の軽減、安全のため全身麻酔にて行っています。2-3日入院していただき術後の異常がないことを確認してから退院をしていただくことを基本としています。

(RIWOspineより提供)

椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)

厳密には手術ではありませんが椎間板内に薬剤を注入する処置が必要なため手術室で行うことを基本としています。ヘルニコアは椎間板髄核の保水成分を分解する酵素であり、これを椎間板内に注射することで、水分を含んだ髄核のふくらみが適度に和らぎ、神経への圧迫の改善が期待されます。2018年に発売された薬です。
手術よりもさらに簡単な処置で済みますが定められたいくつかの制限があります。ヘルニアの形状、年齢、強い神経障害の有無、アレルギーなど定められた条件を満たす場合に使用することができます。副作用としてアレルギーが起こり得るため当院では1泊入院を基本としています。

 

経皮的後弯矯正術 (BKP)

経皮的後弯矯正術(BKP)は、骨粗鬆症の方が脊椎の圧迫骨折をおこし、保存的治療を行っても治癒せず背中の痛みがとれない患者さんが対象になります。
本術式は、骨折した背骨の中で風船を膨らませ、潰れた骨をできるだけ整復しセメントを充填して固めることによって骨折部の安定化を図る手術です。傷跡は小さく、手術時間も短い低侵襲手術で、手術直後より著しい疼痛改善が期待できます。また、ほとんどの患者さんが翌日より歩行可能となります。
ただし、骨折した骨の数や形、全身の健康状態によっては対象外となる場合もあります。

 

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