Treatment診療案内

小児眼科

1.【子どもの視力の発達】

赤ちゃんは生まれたばかりの時は、明るいか暗いかがわかる程度の視力しかありません。しかし、1ヶ月位でものの形が、2ヶ月位で色が分かるようになり、4ヶ月になると、動くものを追って目を動かせるようになります。その後、色々な物を見ることで視力は発達し、4~5歳くらいで1.0に達するとされています。
視力の発達には物を見ることが最も重要ですが、もし視力の発達の途中でものをくっきり見ることができない状態が続くと、弱視の状態になってしまいます。

2.【弱視とは】

弱視とは、眼鏡などで矯正しても視力が上がらない目の状態です。「裸眼視力は0.1だが、眼鏡やコンタクトレンズをすれば1.0になる」という場合は弱視とはいいません。
視力が発達するのは8歳くらいまでといわれており、この期間に視力発達を妨げる要因があり視力が育ち切らないと、その後弱視という状態になってしまいます。
弱視には以下のような種類があります。

屈折異常弱視 両目共に強い遠視や乱視であるため、両目共に視力が発達していない状態。
不同視弱視 片方の目だけ遠視や乱視が強いために、その目だけ視力が発達していない状態。
日常生活で不便さを感じにくいため、気がつかないことがよくある。
斜視弱視 片方の目の視線がずれている(斜視)ために、ずれている方の目が使われず視力が発達していない状態。
形態覚遮断弱視 目に光が入らない状態が続いたために、視力が発達していない状態。
原因としては、先天性の眼瞼下垂や白内障、眼帯の使用などがある。

 

3.【弱視の検査】

視力検査と屈折検査、斜視検査を行い、その後に医師による診察にて目の中の病気がないか確認し、弱視かどうかを診断します。
物を見ようとする際、眼の中の筋肉を収縮させてレンズ(水晶体)の厚さを増すことによってピントを合わせます。この働きを調節と言います。眼の屈折(遠視・近視・乱視の度数)は調節を休ませた状態で決まります。
ところが、子どもは調節を休ませることがうまくできないので、通常の視力検査では正確な屈折度数がわかりません。そのため正確な屈折度を把握するためには、調節を休ませる目薬(アトロピンやサイプレジン)を点眼して調節力を取り除き、精密な検査を行う必要があります。

アトロピン
方法 家庭にて1日2回(朝と夜)7日間点眼
8日目来院後に視力、屈折検査
※両目に1滴ずつ点眼した後、目頭を約3分間ほどおさえて目薬が体の中に入らないようにします
症状 近くの物がぼやけて見えづらい状態と、まぶしい状態が2~3週間ほど続きます
副作用 まれに顔が赤くなって熱がでたりすることがあります。このような症状が現れた場合にはすぐに点眼を中止し、医師に指示を仰いでください
サイプレジン
方法 院内にて5分おきに2~3回点眼
2回目の点眼から45分後に視力、屈折検査
症状 近くの物がぼやけて見えづらい状態が10~24時間ほど続きます。
まぶしい状態が2~3日ほど続きます

※ サイプレジンよりアトロピンの方がより正確な屈折度数を測れるため、通常当院ではアトロピンで検査を行っています。

4.【弱視の治療】

弱視を治療できる年齢には限界があり、一般的には8歳くらいまでとされており、治療開始時期は早ければ早いほど治療の効果が高くなります。
弱視の治療の基本は、弱視の目できちんと鮮明な像が網膜に結ばれる状態にすることです。
弱視の種類に応じて、その子に合った治療方針で治療に取り組みます。

眼鏡

適切な度数の眼鏡を作成するために目薬による精密屈折検査を行います。両眼が同じ程度の遠視であれば、遠視用メガネを装用することによって、鮮明な映像が脳へ伝わり徐々に視力が発達します。

アイパッチ

左右で屈折度数の差がある場合、眼鏡を装用するだけでは弱視眼の視力発達は不十分となります。弱視訓練として、眼鏡の装用と合わせて視力が良いほうの目を一定時間遮閉し、強制的に弱視の目を使わせます。(アイパッチによる健眼遮閉)
なるべく近くの物(30cm程度)を見せることも効果的です。遮閉時間は年齢や視力の状態などによって異なります。良い方の目の視力が落ちていないことの確認も大切です。経過を観察しながら、アイパッチ着用時間を調整していきます。

手術

先天性の眼瞼下垂や白内障などによる形態覚遮断弱視の場合は手術が必要になることが多く、その後は必要に応じて眼鏡やアイパッチによる治療を行います。

5.【斜視とは】

斜視とは、両目の視線が正しく見る目標に向かわず、片目の視線が内側や外側、あるいは上下に向いている状態です。
「目線が合わない」「焦点が合いにくい」「物が二つに見える」などの症状が表れます。原因は目を動かす筋肉や神経の異常、 脳の病気、屈折異常などです。
斜視の種類としては以下のようなものがあります。

斜視の種類

内斜視
片方の目が内側に向いている状態(寄り目)
乳児内斜視
生後6か月以内に発症した内斜視で、ほとんどが生後1か月以内に発症する。
調節性内斜視
遠視が原因となって起こる内斜視。調節(ピント合わせ)をするときの過剰な眼球の内寄せ(輻湊)により起こる。1歳半~3歳頃なってから生じてくることが多く、遠視用眼鏡をかけることによって内斜視は改善される。
外斜視
片方の目が外側に向いている状態
間欠性外斜視
ボーっとしている時や疲れた時、遠くを見ている時など、時々外斜視になるもの。外斜視のうちの90%前後がこの型の外斜視といわれている。
恒常性外斜視
常に外斜視になっている状態で、間欠性外斜視から進行していく場合もある。

6.【斜視の検査、治療】

斜視を診断するための検査としては、視力・屈折検査(遠視、近視、乱視)、眼位検査(目の向きのずれやその角度)、眼球運動検査(目が正しく動いているか)、両眼視機能検査(両目を使ってものを見れているかどうか)などがあります。
これらの検査結果をもとに斜視の原因や種類を判断し、治療計画を考えていきます。

斜視の治療としては、まずは必要であれば屈折矯正のための眼鏡を作成します。遠視による調節性内斜視では、眼鏡を装用することで内斜視は改善します。
また、複視(物が2つに見える)の軽減のために、プリズムといって両目の視線を合わせやすくするようなレンズを用いた眼鏡を作成して治療することもあります。
斜視の種類や程度によっては手術が必要になる場合もあります。

7.【弱視、斜視は早期発見が大切】

弱視・斜視は早期に治療を開始することにより予後が大きく異なります。 3歳児健診で検査を受けることはとても重要であり、また家庭で以下のような症状がみられる場合には、弱視や斜視の可能性もあるため一度眼科受診をお勧めします。

  • 目を細めて見ている
  • 向かい合っても目が合わない
  • 片目をつぶって見ている
  • 正面のものを横目で見ている
  • 片方の目を隠すと異常に嫌がる
  • テレビや絵本をかなり近づいて見ている
  • まぶたが下がって目が隠れている

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