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整形外科

更新日:2021年07月07日

はじめに

2021年4月に川那辺圭一、川口誠司が常勤医師として赴任しました。それぞれ股関節、膝関節外科を専門にしており、当院でもその専門性を生かして人工関節センターを立ち上げました。また、地域医療に協力するべく高齢者の骨折や交通事故などの救急にもできるだけ対応していく所存です。

現在では人間のほとんどの関節を人工関節に置き換えることも可能です。しかし、その長期の実績より股関節と膝関節が最も多く、日本においてもその数は次第に増加しており人工股関節手術は6~7万件/年ほど行われています。痛みのためにほとんど歩けなかった方や仕事・趣味も諦めていた方が元通りの生活に復帰されるのを何度も見てきたのでとても素晴らしい手術だと確信しています。しかし、20~30年と長期の使用に耐えうる人工関節インプラントおよび手術手技が必要とされるため、患者さんにとってなかなか決心がつかないだろうと思われます。当センターでは経験豊かな医師が手術について詳しく説明します。また、術後の生活様式、仕事復帰や趣味のスポーツの再開などについても気軽にご相談ください。股関節、膝関節においては人工関節を主としておりますが、骨切り手術、関節鏡手術も積極的に取り組んでいきます。また、肩関節、肘関節、足関節における人工関節も行う予定です。

股関節外科

1.人工股関節置換術

この手術により股関節の痛みをほぼ100% 取り去ることが可能だけでなく、股関節の動く範囲を改善し足の長さをそろえることができるので反対側の股関節や膝、腰の負担を減らすことができます。また、歩き方もかなり改善され、杖が必要でなくなる方も多くおられます。手術後、水泳やハイキングはもちろん、ゴルフ、サイクリング、軽登山、テニスを楽しむことも可能となります。但し、合併症として感染、脱臼などがありますが、その発生率はいずれも1%未満でその予防と対策に細心の気配りをしています。また、その長期成績は術後20年で20%、30年で30%の確率で入れ替え手術が必要となってきますが、再置換術をすることによりほぼ元通りに再建できるために車いすになることはありません。

2~3週間の入院で、退院後はリハビリの必要はなく痛みのない快適な生活を送ることができます。20代の方でも人工股関節置換術以外に痛みをとる方法がない場合、または80歳以上でも重篤な合併症がなければ手術は可能で厳密な年齢制限はありません。手術は1時間半程度で、手術後2日目に車いすで自らトイレに行くことができ、3日目から歩行訓練開始、2週間で杖歩行が可能で2-3週間で退院可能となります。

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過去に手術(骨切り術)を受けた方でも足の長さが矯正され痛みも軽快

また、両側の人工股関節置換術を同日に行うこともしています。70歳台までで重篤な内科疾患がなければ可能で、手術時間は約3~4時間、入院期間は3~4週程度で済みます。片方ずつ手術するよりも合計の入院期間は短く、患者さんの評判も良いようです。

手術前の動画 (mp4:2 MB)

術後1ヶ月後の動画 (mp4:2 MB)

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2.人工股関節再置換術(入れ替え手術)

人工股関節の感染、頻回脱臼、緩みなどでは再置換術が必要となってきます。同種骨移植(他人の骨)を骨欠損部に補填することを行っております。この方法により強度に優れた十分な量の移植骨が確保でき、これと寛骨臼補強プレートを組み合わせて、長期の良好な成績を報告しています。実際の手術は3-4時間で最初の手術よりもやや時間はかかりますが、術後のリハビリはほほ同じと考えて良いでしょう。3-4週間の入院なので患者さんへの負担は以前と比較しずいぶん軽減したと言えるでしょう。再手術により痛みの無い元の生活に復帰することができます。

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図3. 人工股関節再置換術

3.寛骨臼移動術(自分の骨を利用する手術)

関節軟骨が残っている場合には寛骨臼移動術など自分の骨を残す手術が主体となってきます。軟骨の減りがある方でも股関節を外に開くと関節適合改善が認められる50歳頃までの人に寛骨臼移動術の適応があると考えています。この手術においては骨盤内側からのアプローチで手術するために歩行に重要な外転筋群を痛めることがなく、筋力低下が抑えられ骨癒合も早く良好で、手術前の痛みは消失します。また、皮膚切開も8-9cm程度で済み、美容的にも優れた手術方法といえます。いずれも入院期間は1ヶ月半で、軽作業復帰までは骨癒合が得られる術後3カ月程度は必要です。

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図1. 臼蓋形成不全に対する寛骨臼移動術

4.大腿骨頭回転骨切り術

大腿骨頭への血流が障害されることにより骨頭の一部に壊死が生じるもので、原因としてはステロイド服用、アルコール愛飲歴などがあります。その壊死範囲が大きいと陥没し手術が必要となりますが、50歳以上の場合には人工股関節、それ以下の場合には大腿骨頭回転骨切り術を第一選択として考えていきます。この手術では壊死している上方の荷重部分を前方や下方の荷重のかからない部位へ移動させる手術で入院は1.5カ月、軽作業が可能になるまでは3カ月必要です。

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図4. 大腿骨頭壊死に対する骨頭回転骨切り術

5. 股関節鏡下手術

股関節鏡視下手術となる対象は股関節唇損傷、股関節内良性腫瘍、femoroacetabular impingement症候群などが挙げられます。いずれも1cm程度の傷が3か所程度で関節内手術が可能で、数日から1週間程度の入院期間が必要です。

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図5. 股関節鏡視下手術

文献
  1.  Nishimatsu H., Kawanabe K., et al. “Average 24 years follow-up study of a modified Spitzy shelf operation for dysplastic hip” J. Bone Joint Surg(Br) 84-B: 647-52, 2002.
  2.  Otsuki B, Kawanabe K, et al.. “Developing a novel custom cutting guide for curved periacetabular osteotomy.” Int Orthop(SICOT)published online; 09 April 2013.
  3.  Kawanabe K, et al. “Revision total hip replacement using the Kerboull acetabular reinforcement device with morsellised or bulk graft. Results at a mean follow-up of 8.7 years.” J. Bone Joint Surg (Br) 89-B: 26-31, 2007.

膝関節外科

1.関節鏡手術

小さな侵襲で膝関節内を直接観察でき、様々な治療もできます。対象疾患は、半月板損傷、十字靱帯損傷、離断性骨軟骨炎、タナ障害、関節鼠等です。関節リウマチにおいては、滑膜切除術を鏡視下で行なえます。ただし変形性関節症に対しての効果は限定的です。

2.膝関節周囲骨切り術

変形性膝関節症で、関節の内側だけもしくは外側だけが傷んでいるものの対側が比較的健全な状態で残っていれば、骨切り術で良好な除痛が得られます。骨切り術で下肢をまっすぐにすれば、健全な部分でより多くの荷重を受け、傷んだ部分へかかる荷重を減らすことができるからです(図1)。術後の生活に制限が不要(そのためスポーツ愛好家など活動性の高い方には推奨します)、関節自体には侵襲を加えない(自分の関節が温存され術後の可動域も良好)など、人工関節にはないメリットがあります。ただし術後に痛みが軽減するまでには時間が必要、骨切り部をとめるプレートは皮膚の薄いところにあてるため骨癒合を得た後は抜釘をした方がいいこともある、などのデメリットもあるため、下記の単顆型人工膝関節との手術適応についてはよく話し合った上でニーズにあった選択をさせていただきます。

また骨切りの際には変形に応じた術式の選択をさせていただきます(図2)。

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図1. O脚をまっすぐにすることで膝痛の改善が得られます

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図2. 一般的な高位脛骨骨切り術の術前後

3.人工膝関節置換術

変形性膝関節症や関節リウマチの患者さんで、保存的治療による症状緩和が限界になった患者さんが主に受けられます。術後の関節可動域訓練が特に重要で、患者さんのリハビリ意欲が術後関節機能に影響します。

進行した変形性膝関節症や関節リウマチで関節全体が変形しているときには人工膝関節全置換術を行ないます。強い変形も矯正することができ、理想的な形に整えます(図3)。

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図3. 人工膝関節「全」置換術の術前後

膝関節骨壊死や変形性膝関節症で内側もしくは外側のみの関節が痛んでいる状態であれば単顆型人工膝関節(図4)で対応が可能です。非常に侵襲が低く、術後の回復も早いので超高齢者(90歳以上)の方でも安全に受けていただくことができます。また十字靭帯という膝関節で重要な靭帯も温存できるため、術後により自然な膝の動きを得ることができます。この手術については当院では積極的に取り組んでおり、人工関節のホームページにて紹介していただいておりますので是非ご覧下さい。

https://www.jinko-kansetsu.com/ask/230/index.html

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図4. 単顆型人工膝関節の術前後

変形が強く骨欠損が大きい場合や靱帯機能不全がある場合はステム付きの制動型人工膝関節を用います(図5)。

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図5. 靭帯不全のため制動性の高い人工膝関節を選択

転移性骨腫瘍や病的骨折後の偽関節(骨が癒合しない)などで大きな骨欠損があり通常の人工関節での対応が困難な場合には、腫瘍用人工関節を用います(図6)。

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図6. 腫瘍用人工膝関節

通常の初回手術で条件がよければ、膝周囲骨切り術も単顆型人工膝関節置換術も人工膝関節全置換術も両側同時手術(図7)を行うことが可能です。両側同時手術には入院期間、リハビリ期間、費用の面などで大きなメリットがあります。

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図7. 両側同時人工膝関節全置換術の術前後です。仮に一方ずつ手術をすると、手術をした脚はまっすぐになるものの、手術をしていない脚の強いO脚が残るため、リハビリがしにくくなります。

患者さんからよくある質問

1.人工関節とはどのようなものですか?

人工関節は股関節と膝関節が中心で手術対象となるのはほとんどが変形性関節症です。軟骨がすり減り骨同士が擦れ合うために痛みが出てきます。この病気は進行性で鎮痛剤は次第に効かなくなり、その副作用もあるので長期に使用することはお勧めできません。注射やリハビリも効果は一時的限定的で、痛みにより日常生活や仕事が支障をきたすようになれば人工関節が良いと思われます。その構造は関節の一方にポリエチレン、もう一方に金属あるいはセラミックを使用し正常な関節と同じように滑らかに動きます。変性した軟骨や変形した骨を削り関節を人工のものに置き換えるのですが、固定方法にはセメントを使用する場合としない場合があり、関節の形状や手術する医者により異なります。変形性関節症のほかには骨壊死や関節リウマチなどがあります。

2.人工関節をした後の日常生活はどうなるのですか?

人工関節を受けた後は以前と比べて不便になることはほとんどないといってよいでしょう。痛みはほぼ無くなり関節の動きも改善されます。脚の長さも矯正され歩き方もスムーズになり、杖をつかなくても上手に歩ける場合には杖を使用する必要ありません。また、軽い運動やレクリエーションも手術後2~3か月より徐々に始めてください。お勧めの運動はウォーキング、水泳、サイクリングなどですが、ジョギングは股関節の負担が大きく避けたほうが良いでしょう。ダンス、ゴルフ、ゲートボール、ハイキングなどを楽しんでいる患者さんも多いです。一日の歩数の目安は4~5千歩ですが、時に一万歩を超えても大丈夫です。

3.手術の後の痛みは?

手術は全身麻酔か、腰椎麻酔(下半身麻酔)で行います。また、手術終了直前に手術創内にカクテル麻酔(数種類の麻酔剤を効果的に混合して24時間効果が持続)を行うことにより術後の痛みは大幅に軽減されるようになりました。

4.仕事復帰は手術後どのくらいかかるでしょうか?

手術から仕事復帰までの期間はデスクワークならば1~2か月、介護やレジの仕事は2~3か月でしょう。すぐに元の仕事に復帰するのではなく徐々に以前の仕事に戻るようにしてください。しかし、人工関節を長持ちさせるためには重量物運搬などの重労働は避けたほうが良いでしょう。

5.日常生活における注意点を教えてください。

人工股関節においては患者さんからの質問で最も多いのが脱臼に関することです。正座、あぐらは大丈夫ですが、割座(トンビすわり)は脱臼のおそれがあるので要注意です。割座とは両方の膝以下を外へ投げ出して畳などに座る姿勢で、女性がよくする座り方です。また、低い椅子に深く腰掛けて立ち上がる際には股関節が深く曲がるのでこれも脱臼・亜脱臼の危険性があるのであまり低い椅子には座らないで下さい。人工膝関節において脱臼はありませんが、手術後時間の経過とともに膝の動きがやや悪くなる場合があり、ご自身で膝関節の屈曲、伸展の運動は毎日必要でしょう。人工股関節と人工膝関節の手術後は、必要に駆られて走る程度は問題ないのですがトレーニングのために毎日何キロも走ること、階段の昇降を何回も繰り返すのは避けてください。また、人工関節の合併症として感染があり、手術後何年経過しても起こりうるものなので注意が必要です。手術部位が赤く腫れて痛む、また今まで調子よかったのに最近痛みが出てきたなどの症状がある際にはすぐに受診してください。感染初期ならば抗菌剤のみか手術した部位の洗浄だけで治癒させることができます。

6.人工関節は何年ぐらい持つのでしょうか?

人工関節をしてから20年以内に入れ替え手術が必要となるのは20%、30年以内に入れ替え手術が必要となるのは30%程度という長期成績が出ています。逆に言えば70~80%の方は20~30年持つということでこれは股関節も膝関節も大体同じ程度です。再手術の原因はゆるみ、感染、脱臼などで入れ替え手術をすればまた痛みのない人工関節になります。再手術にはタイミングが重要で手遅れになると骨折を起こしたり入れ替え手術が難しくなったりするので、一年に一回のレントゲンチェックは必ず受けてください。

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